田中角栄の秘密を、共に戦った早坂茂三さんに教えてもらいます。


オヤジとわたし |早坂 茂三

オヤジとわたし-頂点をきわめた男の物語 田中角栄との23年
早坂 茂三
集英社 (1987/01)
売り上げランキング: 262,222

(評価:★★☆☆☆:時間とお金に余裕があればぜひ)


●早坂茂三氏の訃報を知り、今日はこの本をご紹介します。

●早坂氏の初期の作品なのか、文体が最近の本とちがうのでほのぼのとしました。内容は強烈なまでの田中角栄の成功の秘訣です。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・オヤジの処女演説・・・オヤジは何を訴えたか。
“みなさーん、こ、この新潟と群馬の境にある三国峠を切り崩してしまう。そうすれば、日本海の季節風は太平洋側に抜けて、越後に雪は降らなくなる。みんなが大雪に苦しむことはなくなるのであります!ナニ、切り崩した土は日本海へ持っていく。埋め立てて佐渡を陸続きにさせてしまえばいいのであります。”
<状況に合わせてユーモアを入れて、人を惹きつける。田中節ですね。>

・民間、在野には英才とエネルギーがあふれているんだ。この人たちが伸び伸びと仕事ができるような環境をつくる。邪魔な石ころをとり、でかい石を砕く。それが政治の仕事だ。―これがオヤジの持論でした。そして私にこう言った。「ただし、教育・国防・外交の三つは国の仕事だ。その大事な教育について、政治は金を惜しむべきじゃない。ここのところをまじめに考えて検討しろ」
<見識がありますね。ロッキード事件がなければ、日本は今とは少し違う姿になっていたかもしれません>

・役人はすべて既存の法律を前提にして、その枠の中で物事を考える。ところがオヤジは、役に立たなくなった法律はやめて、新しい法律をつくればいいと考える。だから発想がすべてオリジナルだ。役人が束になっても、田中のような知恵は出てこない。勉強もしている。見識もある。方針をキチンと示す。責任をとってくれる。こうなれば官僚たちは安心して田中についてくる。
<組織のトップのあるべき姿が、ここにあるように思います>

・田中のオヤジが凄いと思うのは、たとえば新聞や雑誌のインタビューに応ずるときの用意周到さです。・・・私がまず相手に会って「質問事項を出してください」と言う。・・・オヤジは、私に資料の用意を命じます。・・・「全部集めろ」と言う。・・・提出された厖大な資料を手許に置いて、オヤジは赤エンピツを片手に線を引きながら一心不乱に読んでいく。・・・オヤジは時・状況それに読者層を考えて、自分の発言がどういうかたちで人に迎えられるか、それをとことん検討する。一点一画、ゆるがせにしない。十二分に勉強するんです。・・・いざインタビューに入ると、田中は資料をいっさい見ない。
<田中角栄はイメージと違って、非常に緻密で計算高く、まじめで準備周到な人間だったようです。ユーモアでさえも計算されたものなのでしょう。>


「オヤジとわたし」早坂茂三、集英社(1987/01)¥1,020
(評価:★★☆☆☆:時間とお金に余裕があればぜひ)

【早坂茂三の経歴】
1930年生まれ。大学卒業後、東京タイムズ社に入社。政治部記者として田中角栄と出会う。

1962年、当時、大蔵大臣であった田中角栄の秘書官となり、田中角栄が脳梗塞で倒れる1985年まで政策担当の秘書を務める。

その後、田中角栄の長女・真紀子と対立し、政治評論家に転身。

田中角栄の政治的足跡や生き方をテーマにした著書を多数出版。


あの神田昌典さんの超人気CDがもらえる、フォレスト出版リーダーズクラブはこちら